新しいズボンよ、出でよ
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復活ノート
「新しいズボンよ!出でよ」
30年程前、同志社大学のオーテス・ケリーという教授は、今後ジーパンをはいて教室に入るべからずと言いました(教授は、去年アメリカで亡くなりました)。
ジーパンは、労働着なので、そんな格好で神聖な学問を学ぶべきでないという趣旨だったようにおぼえています。
教授は、当時は、まだ一般的でなかった「TPO」ということを教えたかったのかもしれません。確かにジーパンは、アメリカにおいて、炭鉱夫などの作業服のために、安くて丈夫なデニムで作られたものだと聞いています。
この論争は、マスコミでもかなり取りあげられましたが、大学側も困ったようで、見解を発表しなかったように記憶しています。世間も、「また時代遅れな」という雰囲気だったようです。
戦後の混乱期、白洲次郎は、吉田茂らとともに、敗戦処理のためにアメリカに行ったのですが、機中での白いTシャツとジーパン姿の写真を見ると、さすがイギリスで教育を受けた男のカッコよさを感じます。
その後、アメリカ兵がはいていたためかどうか知りませんが、ジーパンは、「不良のズボン」というイメージがありました。中学生の頃、おばが、ジーパンを送ってくれたのですが、父親が、怒ること怒ること。
しかしながら、ジーパン(当時は、ジーンズという言葉はあまり聞いたことありませんでした)は、日本で、いや世界中で、着実に市民権を得たようです。
今や、ジーパンは、農作業、ドライブだけでなく、銀座でのショッピング、「お呼ばれ」でも、何の違和感もありません。
ダメージやビンテージという「差別化」も、若者の人気の的です。
人類は、絶滅するときも、ジーパンをはいているのでしょうか。
ところで、ジーパンに、「一人勝ち」させてもいいのでしょうか。
ファッションビジネスに興味のある人は、ズボン(スラックス)のTPOを提案するコンセプトを追及しませんか。
ジーパンが丈夫であることはわかりましたから、生地とともに、21世紀にふさわしい機能を、ズボンに与えるのです。
そこから、シャツ、ブレザーなど、トータルな方向へ持っていくのです。
そこには、大きなビジネスが待っていると思います。